2013年10月20日日曜日

【個として飛び出すグローバル】『グローバルに活躍できる子供を育てるには?』という質問について考えてみる①

長いこと海外生活をしている人は、きっとよくこう質問されると思う。

『どうしたら子供をグローバルに活躍できるように育てられるだろうか?』

私もそのような質問を受けることがあり、これまでは適当に『うーん難しいねえ、どうだろう』と答えていたが、最近しつこく考えを迫られることがあったので少し考えてみた。

まず、質問をよく理解してみよう。

『グローバルに』『活躍』とはどこを差すのだろう?

  1. 海外のトップ校を主席で卒業し、そのまま現地でエリート化する(ローカルあるいはグローバルエリート)
  2. 日本のエリート校を日本で日系企業に勤務し、海外転勤し本社に栄転する(日系大手企業のエリート)
  3. あるターゲット国、市場でスキルを生かして活躍すること(ローカルエキスパートを目指す)
  4. 複数か国に『流れ』ても平気な人になる(かなり漠然としているが、『結果グローバルノマド』)
  5. などなど
話をよくよく聞くと、多くの場合が1や2狙いであるようにも思えるが、それは自身が留学や海外勤務を経験している人からの質問が多いからかもしれない。同時に最近感じるのは『日本は将来どうなるか分からないから逃げ道を与えておきたい』という思いもあるようだ。

私自身よりもより参考になりそうな周囲の例を見て分析すると、上記3種類の中で活躍している人に関して確実に言えることがある。それは、海外で活躍出来る人は、日本でも確実に活躍できるタイプの人材であること。スキルがある、専門性がある、ノレッジがある、人望がある、人脈がある、馬力がある、ひとりでも努力できる、などなど。日本にいても必要な成功の要素がうまくブレンドされている方が多い。それは起業家でも、企業エリートでも、ジャーナリストでも、料理人でも言える。だから海外で活躍の前に、まずはそもそも活躍出来る人材を育てると考えた方が良さそうだ。

私は子育ての専門家ではないので、幼少期に英才教育を行うなど、そういう教育方針や理論の中で何が効果的なのかは分からない。これが一番効果的、というものがあるのかも分からない。

ただもう少し大きくなってからの事を考えると、中学生以降の留学はしないよりはする方が子供の世界を見たいという意欲を促進することになるとは思う。だからきっといいのではないかな、といつも言う。(ただ話を聞くととんでもないホストファミリーに受け入れられた語学留学の話も聞くので、教育面でも生活面でもきちんとした環境が提供される受け入れ先を選ぶことは重要だと思う。)でも早ければ良いとも限らないし、単に留学しましたと履歴書に書ける、というだけのものであればどれほど効果があるのかも不明瞭だ。

でも、そういうのは、tacticsに過ぎない気もする。

本当に活躍していくためには、自分が選んだ行き先で、どれだけそこに住む人たちの価値観や思考法などを理解しているかということだと思う。それを本で知識として習得するか、現地入りして肌で吸収していくかは人それぞれだが、根本的にはそれが出来る人が活路を見出していけると思う。

こういう話を読んだことがある。(本のタイトルは忘れてしまい、メモを取っていなかったので詳細は多少あやふやだが、ポイントは理解してもらえると思う。)

ある児童心理学研究者が、研究の一部としてアメリカ人の子供、日本人の子供、中国人の子供など、文化圏の異なる複数か国の子供たちにこう質問したという。

『君は家族と遠く見知らぬ町に来た。車で来たので場所は全く分からない。そんな時、家族とはぐれてしまって、一人になってしまった。君ならどうする?』

日本人の子供の多くは『警察に行き、両親の名前を伝え、迎えに来てもらうのを待つ』と答えたという。

対し、アメリカ人の子供は『まずは道行く人にスーパーまでの道を聞いて、店で地図を買って、家までの帰り道を教えてもらう』と答えたという。

確か対象は5歳児だったと思う。それでここまですでに思考回路が異なるのかと非常に分かりやすい例で、とても印象的だった。ちなみに中国人の子供の回答も確か大人を捜して安全を確保することに動いた内容だった。

個人的にはヨーロッパ人の子供中東の子供はどう考えたのか知りたかったが本にはなかったので残念。

この5歳児が学校へ行き、それぞれこのような基本的な思考回路や欲求を育まれ、大人になる。そう考えたときに多文化理解の面白味も見えてくると思う。

余談だが、複数以上の思考回路、文化的価値観、欲求を完全にインターナライズすることは難しいともされているようだ。バイカルチャー(2つの文化を生きる)ことがせいぜい、トライカルチャー(3つの文化を生きる)は難しいという意見もあるようだし、サードカルチャーチルドレン(親とは異なる文化圏で生まれ育つ、いわゆる移民が多く当てはまる)は文化的なジレンマを感じるとか、アイデンティティ面での葛藤は多く研究されている。こういうのもまた面白いなと思う。

(次回につづく…)