2013年1月12日土曜日

個として飛び出すグローバル (2013/01/12):【渡航前】【語学力】専門分野の語学学習は日本にいるうちに!


【今回のテーマ:専門分野の語学学習は日本にいるうちに!】

海外に飛び出したい、という人によく相談される。『あれがしたい』『これに興味がある』。『でも、語学ができないんです。どうしたらいいですか?』と聞かれることも多々ある。

現地に行けば自然と身に付く、という人もいると思うが、私は敢えて厳しく突き放す。『それじゃあ前途多難、厳しいと思います。』

当然、そういうことを言うと、とても嫌われる。『あなたは語学に長けていてラッキーですよね』と言われる。確かに私はそこそこ耳がいいと思うし、そこそこいい加減な性格であるところも、実は語学学習にプラスになっていると思う。

でもそういう理由は、言葉以外にも苦労しなければならないことは山ほどあるからだ。だから、日本でできる苦労は、日本にいる間に処理しておきたい。

語学学校に行くこと自体が目標であれば別だが、相当語学が出来ない限り、外国語で勤務しながら活躍するというのは難しい。というよりも、採用してもらえない。私の周りでも、専門分野を持ち、語学だって上級の人でさえ『言葉ができぬ』『思いが通じぬ』とため息をついているので、語学力から現地で身につけるという姿勢ではロスが多い気がする。

そういう嫌なことを言うと、『じゃあどれぐらい出来ればいいんですか?』、と半分怒った顔で聞かれる。TOEICで何点取ればいいのか、とかそういうことばかり聞かれる。

目安が欲しいのは良くわかるが、私ももう長いこと語学検定などを受けていないので、正直何点取ればいかほどか、というのは良く分からない。

それにコミュニケーション力には幅がある。
私の周りにも、こういう人がいる。本人は外国語は苦手と言っているし、実際大してスラスラ話すことは出来ない様子。それでも、謎に学者から若者までと幅広くそれなりにコミュニケーションが取れている上、相手も積極的に彼女に話しかけていく、という不可解な現象が彼女の周りで起きる。本人曰く、『総合力で勝負』。彼女の言う総合力には何を含むのかよくわからないが、一般常識とか、専門分野の知識とか、親心とか、ひと好きがする、『全部分からなくても大丈夫力』の高さなどと私は理解している。結局はコミュニケーション力は総合力なのだ。ちなみに、これは私の母の例である。

ただ、適当路線を貫くよりも、なるべく言葉はちゃんと勉学した方が良い。仕事で外国語を使う場合、絶対に、発音が悪いよりは良い方、文法が曖昧より完璧な方が全般的に評価が上がりやすい。理由は、もちろん『周囲に理解されやすいから』。もっと言えば、発言に中身があって多少発音が悪いのは許されるが、中身もあやふや、発音、表現力が乏しい場合は職場では相手にされなくなる。

相当珍しい外国語を勉強しない限り、日本でも教材には事欠くことはないし、語学学習の達人という人たちの本から学習テクニックも学べる。語学学習のプロが勧めることを片っ端から試してみればいいと思う。だから、自分なりに『やれることはすべてやった』と思えるぐらい、徹底的に取り組んでみると良い。実際に何よりも大事なのは、他人による語学スキルの評価ではなく、自分で『知らないことは説明してもらえば理解できる』と思える自信なのだ。できると思っていれば、分からなくても『分かるはず』、完璧でなくても『大筋は伝えられる』、と思えることで、ひとまず最初の3ヶ月を突破していける。

ただ、それでもしつこくどう準備をすればいいか教えてほしいと迫られると、『今日、日本語でも一番説明しづらいと思ったことは何か』を毎晩考え、『それを自分なりに外国語でどうにか言えるかどうか』、を考えてみると良いのでは?とアドバイスする。

相当語学が出来ても、というよりも、母国語であっても、毎日完璧に言いたいことが言えた、ということはあまりない。後でこう言えば良かった、ああ言えば良かった、と後悔する。だからこそ、その日一番難しいことを後付けでも『こういう風に言えばいい』と思える表現が出てくるようになれば、ある程度のレベルに達したと考えていいと思う。

語学力はなだらかにアップしない。数ヶ月単位で段階的にアップし、あるとき突然音が聞き分けられ、文章が理解できるようになる。だから、しつこく勉強した人が能力アップしていく。

あまり難しく考えすぎないでもいいと思う。語学は基本、パターンプラクティスで、ハコ(文法)と単語の蓄積がモノを言う。

パターンプラクティスとは、『私は猫が好きです』というのを『あなたは猫が好きです』『私は犬が嫌いです』という風に、パズルのように組み立てるイメージだ。大抵の西欧言語では、『好き』と言えれば否定を加えることで『嫌い』と言える。そして『猫』『犬』『うさぎ』、あるいは『私』『あなた』『彼』という風に変えて行く部分の語彙を増やすことがまずはてっとりばやい。

そして、正しい外国語を話すための基本は、文章の構成の基本となる文法だ。日本人は文法ばかり勉強してるから語学が出来ない、という批判があったが、いえいえ、ハコは何よりも重要です、だから何よりも先に基本文型、まずそれありきでしょう、と私は思っている。

ハコは学校で学んだから、語彙力はどこからつけていけばいいのさ?という話になるが、日常会話は本を一冊とりあえず買ってそこにあることをすべて学ぶとし、その後は自分の専門分野の語彙をどんどん習得していくのが仕事をしていくことを考えれば最も効率的だと思う。専門分野の本が読めるぐらいの語彙力があれば、確実に話せるようになっていくと考えている。だから、話せないから不得意と感じるよりも、そもそもの得意分野、専門分野であればすらすら外国語で本が読めるというレベルになる、というところまで頑張ってみるのが近道だと思う。

だから基本レベルを押さえている人は、『おはよう、こんにちは』の英会話学習は辞めて、自分の専門分野の本を片っ端から読み、今日一日でどうしても伝えたいことを考えてみると良いと思う。

ただ、あまり語学力が重要、というと誤解が生じるので最後に一点付け加えておくと、海外市場では、語学力が高いことだけが理由で採用されるパターンは限定的。日本のような総合職という考え方はあまりないので、とりあえず採用しておいて使い方を決めよう、という風に人事は動かない。まずはスキルありき。一度、帰国子女という方が『日本語と英語のバイリンガルとして仕事をしていきたい』と面接で発言されたことがあるが、正直びっくりした。とても性格も良さそうで優秀そうな方だったので、分野違いの会社での面接でそれしか言うことがなかったということだったのかもしれないが、(この場合は英語だったが)英語は話せて当然。加えて何をスキルとして、知識として持っているか。勝負はそこになる。

日本での就職活動もかなり厳しい状況であるようだが、海外市場だって簡単ではない。むしろ厳しい。だから、出来る準備は出発前に十分しておくことをおすすめする。


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※以前『Analyze + Summarize』として掲載していた分を引っ越しさせてきました。
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